桃源郷の歩き方 マカオ編第4話 ～魅惑の演舞～
世界の桃源郷 マカオ
徐々に信彦と貴博のいる空間の明かりが落ちていき、そして、蒸気サウナと乾燥サウナの真上に設置された高さ数メートルの位置にあるクラブのお立ち台のような高いところで、パトカーのサイレンのような光が煌めき始めた。
スタッフA「Show Time!」
スタッフB「Show Time!」
全てのスタッフが、「今からショータイムが始まるぞ！」と告げて回っている模様だ。
すると、今まで信彦と貴博と香港人らしき幸せそうな顔をした中年男性の3人しか顧客のいなかった空間に、ぞろぞろとスケベ顔の顧客が集まり始めた。
信彦「おおっ、なんだか沢山お客さんが出てきたね！」
貴博「奥が休憩室のような空間になっているんだけど、基本的にはみんなそこで寛いでいるんだよ。ショータイムが始まると、みんな美女の品定めにこちらに出てくるんだ」
信彦「なるほどね。さっきから、お客さんが余りにも少なくて違和感を感じていたんだけど」
貴博「ははは。天下の十八サウナに客が3人なわけ無いよ！」
信彦「そりゃ、そうだよね！」
貴博「今日は金曜日だから、美女は結構な数が並ぶと思うよ」
信彦「1,000人位？」
貴博「どう考えてもこの空間に1,000人は入らないでしょ（笑）。東莞常平の欧亜大酒店みたいに1,000人は並ばないけど、100人位は並ぶんじゃないかな」（参考: 桃源郷の歩き方 東莞常平編第12話 – 世界の桃源郷 (worldshangrila.com)
信彦「100人って十分凄いよ。東莞常平は確かに凄かったけど、あれを基準にしちゃダメだよね。少し感覚がマヒしているというか」
貴博「まあ、確かにそうだよね。ショータイムは日によって違うけど、30分か1時間おきにやる感じかな」
信彦「なるほど。楽しみだなぁ」
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暗くなった会場のお立ち台に4人の美女がトップレス姿で登場し、激しいリズムの音楽に似合わぬ気だるいダンスを踊り始めた。
信彦「おおっ、始まったね、ショータイム！」
貴博「湯船から出て鑑賞する？それとも湯舟につかったまま鑑賞する？」
信彦「今回は湯船からの絶景を鑑賞しようよ！」
貴博「オッケー！」
信彦「一番手前で踊ってる女の子、スタイル抜群だよね。ダンスは超やる気なさそうだけど」
そう言いかけた時、司会の男性スタッフが何やら広東語と思しき言葉で掛け声をすると、美女4人全員が下半身の水着も脱ぎ去りボトムレスになった。つまり、お立ち台の上で、生まれたままの姿で踊っているのである。自然の絶景を眺められるお風呂は世界中を探せば幾つかあるが、このような絶景を眺めながらお湯につかれるお風呂は、恐らく澳門にしか無いであろう。
信彦「良いねぇ、あのダンス。また軽く勃起してきたよ」
貴博「しばらく湯船につかったままで、出ない方が良いね（笑）。あの、気だるい感じのダンスがまた色っぽいんだよね」
男どもが眼下で40人ほど間抜けなスケベ面で鼻の下を伸ばして眺めている中、4人の美女は気だるそうに一曲分ダンスを踊り切った。
ダンスが終了し、司会の男性スタッフが「選手入場！」的な掛け声をすると、先ほどとは違う激しい音楽が鳴り響き、お風呂の空間にある1つの扉が突然開き、そこから美女が続々と入場してきた。
信彦「ワオ！始まったね！」
貴博「始まったよ。今回は指名はしないよね？」
信彦「そうね、まずは見送って、様子見に徹しよう！」
貴博「オッケー。だいたいの傾向がつかめると思うよ」
白いビキニ姿の美女が6人程連続で縦に一列に並んで入ってきたかと思ったら、次は黒いビキニ姿の美女が8人ほど連続で同様に入ってくる。次は水色のビキニ、そして次はオレンジ色。これでもか、という位次々と入ってくる。
信彦「水着の色は何か意味があるの？」
貴博「水着の色は関係ないんだけど、みんな胸元にバッジが付いてるでしょ？そのバッジの番号の最初の数字によってジャンル分けされてるんだよ。ちょっと確認しないと忘れちゃったけど、203とか238とか2で始まる子は中国人、311とか357とか3で始まる子はベトナム人、みたいな感じ」
信彦「なるほど。勉強になるね」
貴博「確か、800番台と900番台は、中国人モデルというジャンルのはず。各ジャンルによって値段が違うから。選びたい子がいたら、男性スタッフに番号を告げればそれでOKという仕組みなんだ」
そう話しているうちに、どうやらこの時間のショータイムに登場する美女は全て出揃ったようで、彼女達がこの湯舟とサウナのある空間の壁に沿ってびっしりと並んでいる。信彦と貴博が湯船につかっている位置から1.5メートル先にも、びっしり美女が並んでいる。顧客が30人位であるのに対し、美女が100人はいるように思われ、東莞常平と同じく、明らかに供給過剰状態である。
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信彦「目の前の白いビキニの背の高い女の子、めちゃ綺麗だよね」
貴博「いいね。背が高くて、ほっそりしていて。彼女は875番だからモデルだね」
信彦「モデルが一番高いの？」
貴博「日本人が一番高いよ」
信彦「大和撫子もいるの？！」
貴博「うん。いる時といない時があるけど、日本人の女の子も並んでるよ。普通の女の子の2倍位の値段じゃないかな」
信彦「ジャパン・プレミアムだね」
目の前の875番と、その隣の友達と思しき860番の2人が、信彦と貴博に向かって笑顔を振りまき、誘ってきている。2人とも、凛とした顔つきの、スタイル抜群の美女だ。
見た感じ、顧客は香港人が一番多いと思われるものの、日本人も一定数いるようだ。凡その傾向としては、香港人は選ぶのが早く、どんどん美女を選んで、また奥の休憩場空間に戻っていく。
美女達は、ある位置に1～2分滞在すると、次の位置にローテーションで移動する。これを何度も繰り返す。信彦と貴博の前の美女達も、ローテーションで変わっていくため、まずは状況を把握したい信彦には大変好都合なVIPポジションである。
10人ほど残っている顧客は殆ど日本人の模様だ。意思決定に慎重な日本人は、美女をくまなくチェックしているためか、なかなか決められない様子だ。中には「良いな」と思った美女を香港人に奪われた悲劇の日本人もいるはずだ。
目算で、100-30＝70人位の美女を残したまま、ショータイムは終了した。
第5話に続く
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