桃源郷の歩き方 東莞常平編(2)第3話 ~迅速な決断~
リンダに連れられ、信彦・貴博・小玲は花街(Huājiē)の会場に辿り着いた。ここ汇美天伦酒店のKTVに並ぶ美女数は、前回の欧亜大酒店(東莞常平で最大)の1,000人程のメガトン級では無いものの、同系列である汇美酒店の300人程よりは明らかに多い。
ホテルの1フロアのロビーの様な空間の壁に沿って、更には中央部分に人間通路的に、推定550人程の美女が咲き乱れており、正に百花繚乱の花街である。残念ながら信彦には絵を描く才能が備わっていないが、画才があれば後世に描き残したい1シーンであることは間違いない。
初めて花街に遭遇した前月のような圧倒的衝撃こそ無いものの、広大な中国全土から選りすぐりの美女達が集合する花街は、何度見ても心臓が高鳴るものである。小玲という今夜のパートナーが既に確定している信彦は美女を選ぶことは無いのだが、鑑賞しているだけでもアドレナリンが湧き出ることを止めることが出来ない。やはり「美」は人間にとって最大の滋養強壮であり清涼剤なのである。
ここ汇美天伦酒店のKTVでは、美女は基本ドレスを着用して花街に並ぶことになっている模様で、全員ややテカリの入った濃いブルー或いはその他のドレスを纏っている。汇美酒店のKTVのようにデニム等のラフな装いの美女は少なくとも今日は並んでいない模様である。
信彦「ここのKTVも、可愛い子が選り取り見取りだね!」
リンダ「そうよ。あなたも、もう東莞常平のKTVのベテランね!」
信彦「ははは、まだ3回目の新人王だよ」
ここ汇美天伦酒店のKTVも、はっきり言って美女のレベルは高い。ただし、深呼吸をして少し冷静に眺めると、全員のレベルが高いわけではなく、“玉石混交”であることに改めて気付く。「レベルの高い”れっきとした”美女もきちんと存在している」が正確な表現である。前月の汇美酒店のKTVで大変印象的であった「頬赤丸女子」は今回は今のところ見当たらないが、明らかに時代錯誤を体現した女子や、立派な胴回りの女子も並んでおり、ここが異国であることを否が応にも感じさせる。
あくまで外見に限った話であるが、レベルの高い正真正銘の美女は、中国特有のメイクの影響もあるであろうが、日本の女優やモデルよりも余裕で格上である。そのような美女が、比率としては5人に1人程存在する。人により嗜好は様々ではあろうが、「普通に可愛い」美女を含めれば5人に2人は「可愛い」という分類で異論は無いと思われる。全体で550人だとすれば、220人(40%)は十分に「可愛い」。そして、スタイルが抜群に良い。

残り330人のうち、220人(550人の40%)は「可もなく不可もなく」の女子だ。嗜好により需要は存在すると推測される。そして残り110人(550人の20%)は、時代錯誤女子や胴回り女子達だ。但し、彼女達も決して「本日の売れ残り確定」という訳ではなく、前回の状況等から察するに、マネージャー達の営業活動を含む何らかの手段で最終的にはそれなりに客が付くと推測される。いずれにしても、彼女達が花街に並んでいる勇気には敬意を表したい。
そして明らかに、美女を含む女子の数が、顧客である男子の数を超越している。感覚値であるが、5:2位の比率である。美女を含む女子が550人、顧客が220人、更にマネージャーさんや他のスタッフも含めれば900人近い人数が集まり、異様な熱気の空間と化している。しかし、デビュー戦の時とは異なり、信彦も貴博も全く怯むことは無い。
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信彦「リンダ、やはりこのKTVでも女子の方が圧倒的に多いよね。でも、最終的には需給はそれなりに釣り合うんだよね?」
リンダ「そうね。お客さんの中には、遅れてくる人もいるから」
「花街に来ないお客さんなんて、相当もったいない」と信彦は改めて思案した。
この女子数>>>男子数の状況は、顧客である男子からすれば「過度な買い手市場」の選り取り見取り状態で、歓迎すべきものである。しかし、信彦の思考癖なのだが、このような時に「逆の立場だとどうなのだろう?」と常に考えてしまう。女子からすれば、給与補償も何もない完全出来高制の報酬のため、顧客に選択されなければその日の収入はゼロである。
しかも、出勤前に化粧やヘアメイクで200~300元ほどの先行費用が発生しているため、その日の収支は赤字になってしまう。つまり、化粧やヘアメイクの先行投資回収のためにも、この過酷な「買い手市場」で必ず選ばれなければならない。この華やかな花街は、熾烈な戦場としての側面もあるのだ。
小玲を連れていることに起因する「美女選びへの不参加」もあり、今回は更にそのように考えさせられる信彦である。
信彦「さあ、頑張ろうか、貴博!」
貴博「ここも結構可愛い子いるよね~。凄いね~」
信彦「そんな、他人事じゃないよ。自分のこととしてちゃんと取り組まないと(笑)」
貴博「わかった、わかった(笑)。僕の左斜め前の315番、可愛いよね!」
信彦「ん?315番か。確かに、あれはヤバいね。可愛いね。眼力が凄いよ、彼女は」
貴博「彼女可愛いなぁ。彼女にしようかな?」
信彦「早いね」
ちなみに中国語で可愛いは「可爱」、ピンインが「Kě’ài」で日本語の「かわいい」と発音が大層似ているため、「可愛い」を連呼する信彦と貴博の会話内容を小玲が察して話しかけてきた。
小玲「あなたの友達は315番の彼女がお気に入りなの?」
信彦「そうみたい。もう今にも決めそうな勢いだよ」
小玲「ははは。早いわね」
信彦「僕は、その隣の355番にしようかと思ってるんだけど」
ここで、数週間ぶりの「天使の突き」(笑顔付)が発動された。
貴博「じゃあ、315番にするよ!」
信彦「早い!流石!経営者は決断力が全てだよね!」
貴博「それだけ、315番の放つ魅力が凄いということだよ」
信彦「で、1人だけで良いの?」
貴博「うーん、迷うなぁ」
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信彦「時間は存分にあるから、じっくり考えたら良いよ。僕のことは気にしないでね。あと、5人位選んじゃえば?」
貴博「またまた~(笑)。じゃぁ、とりあえず315番は確保するよ」
その旨をリンダに告げ、念のため315番が「不方便(生理のためお持ち帰り不可)」で無いことも確認が取れると、315番が貴博に魅惑のウインクをしながら花街会場から退場していった。
信彦「折角だから、もう少しブラブラ歩いて、どんな美女がいるか探索しようよ」
貴博「そうだね。本当に、見ているだけでも楽しいよね」
先程とは少し違うエリアの美女を見て回るが、やはり玉石混交であり、かなりの上物が混じっている。恐ろしきかな東莞常平である。
これだけ多数の美女が目の前に存在し、選り取り見取りであるにも関わらず誰も選ばないとは、客観的には非常に「勿体無い」のだが、信彦は全くそのようには感じていなかった。やはり「今晩この後小玲への生中出し」が既に脳のあらゆる場所に強くインプットされているからであろうか。
貴博「何だか、今日は直感を大事にしたいね。今僕の目の前の530番にするよ」
信彦「彼女も可愛いなぁ。凄いね、マジで」
貴博「もうこの2人でお腹一杯だな。流石に5人とか6人は多すぎるよ(笑)」
貴博は315番と530番の2人の美女のみ選ぶことにした。これが吉と出るか凶と出るかはこの後すぐに判明することになる。
第4話に続く
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