桃源郷の歩き方 東莞常平編(2)第16話 ~小玲の住居~
信彦と小玲が乗ったタクシーが、5分強で海霞酒店の近くの20階建て程度のマンションの駐車場に到着した。小玲は、信彦との御手当契約締結後、それまで同郷の女友達とシェアしていた部屋を出て、1人で賃貸マンションに住んでいる。
マンションの入口の1階には、オートロックが備わっており、IDカードをかざすと格子ドアが開いて中に入ることが出来る。特段新しいマンションという訳ではないが、中国のドラマで見かける「恐怖の館」のような汚い治安の悪そうな雰囲気は全く無く、小奇麗である。
エレベーターで17階まで上がり、2人は手を繋いで小玲の部屋に向かった。途中廊下で20代後半~30代前半と思しきカップルと廊下ですれ違った。
小玲「この部屋よ」
伸彦「部屋に入っても良いの?」
小玲「どうしてダメなの(笑)?どうぞ、入って」
確かに、17階まで一緒に上がってきて、部屋に入らないというのも奇妙である。
鍵を差してドアを開けると、6畳より少し大き目の居間がいきない現れる。玄関というものは存在しない。信彦は、何度も中国を訪れているが、いつもホテルに宿泊しているため、民間人の家に入るのはこれが初めてである。従って、他の家庭の部屋がどのようなものなのかは不明だが、少なくとも小玲の部屋は日本の一般的なマンションとは異なるようだ。
部屋は全体的に小奇麗に片付けられており、見た感じゴミや埃も落ちておらず、清潔感がある。
小玲「このソファーにでも腰掛けていてね。旅行の用意をするから」
信彦「有難う。気にしないで、用意してね」
小玲「あと、クーラーも入れるね」
信彦「ありがとう」
小玲「私の親友以外でこの部屋に入った初めての人よ。この部屋の2人目のお客さん。男の人では初めて」
信彦「悔しいな。1人目になりたかったな(笑)」
小玲「ふふふ」
小玲はクーラーの電源を入れると、ブランド物ではない小さめのハンドバッグに着替えを入れ、広州への旅行支度を始めた。たかだか電車で1時間位の隣接都市への1泊旅行だが、女性は何かと用意が必要なのだ。
ただし小玲は極めて要領が良く、着替えと化粧品少々で3分もかからぬうちに用意を完了させた。
小玲「ごめんね、待たせたわ」
信彦「全然待ってないよ。用意するの、早いね」
ソファーに座れと言われたが、信彦は結局立ったままで部屋の中を歩き回って様子を観察していた。テーブル・ソファー・テレビ・小物入れ等が置かれた6畳強の居間の他に、奥の4.5畳程度と思われる寝室にベッドが置かれ、また別途キッチン(ダイニングは無い)とシャワールームがあった。ちなみに、小玲の部屋は土足厳禁で、靴は脱いで入室するルールになっている模様である。
信彦「次から、ここに泊まらせてもらおうかな。ベッドも少し大きめだし(笑)」(注: セミダブル程度のサイズのベッドであった)
小玲「私は全然いいわよ。でも、ホテルの部屋に比べると全然豪華じゃないけど、良いの?」
信彦「全然大丈夫だよ。いい感じの部屋だし。ここに着替えを置いておかせて貰えると、荷物が減って楽かも」
小玲「全然良いよ。洗濯もしておいてあげる」
ちなみに、洗濯機は居間から外に出れる3畳程度の広さのベランダに置かれているようだ。
小玲「ここに来るなら、食事も作ってあげる」
信彦「ははは、それは楽しみだなぁ」
小玲「じゃあ、行く?」
信彦「そうだね」
2人は小玲の部屋を出て、エレベーターで1階に降り、マンションの外に出て、海霞酒店の入り口でタクシーを拾い、常平駅に向かった。
信彦「家賃いくらくらいなの?」
小玲「2,500元よ」(当時の為替レートで30,000円程度)
信彦「ふうん。小奇麗だし、手頃な値段で良いところだね」
小玲「あなたのお陰であのマンションに住むことが出来ているの。凄く感謝してる」
まあ、確かにそうかもしれないが、小玲からは「天使の微笑み」から「生中出しし放題」から「細やかな思いやり」まで、精神的にも肉体的にもそれ以上の施しを受けており、こちらこそ感謝すべき立場とも言える。そして、このような相互感謝の感覚を中国人という異国人と共有出来ることは嬉しいものである。
タクシーは5分も経たないうちに鉄道の常平駅に到着し、小玲の導きにより、2人は17時35分発の和諧号のチケットを購入し、改札を通過し、荷物検査を済ませて待合ロビーで案内を待った。その間、和諧号乗車中のアイテムとして、缶入り王老吉とコーラ、そして小玲の餌用のスナック菓子を少々購入した。
出発の10分程前になると案内放送とともにゲートが開き、広州行き和諧号のホームに向かい、チケットの指示通り5号車の指定席に着席した。待合室にはそれなりの人がいた印象であったが、車両数が多いためかそれほど混雑はしておらず、5号車の乗車率は40%程度と快適な空間である。
信彦「ホテルを取らないといけないね」
小玲「確かに。忘れてた(笑)」
信彦「確か、広州にWestin Hotelがあったよね?」
小玲「ごめんなさい、わからない」
信彦「確か、あるよ。調べてみる」
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信彦は、シェラトングループのそこそこランク高めのポイントカードを持っており、ポイント(飛行機で言うマイレージに該当)がそこそこ貯まっている。無事にWestin Hotel 広州の部屋をポイントで予約することが出来た。
信彦「予約完了したよ」
小玲「ありがとう」
信彦「広州では、どこに行くんだったっけ?」
小玲「広州タワーの夜景よ。あと、船に乗るのも楽しいみたい」
信彦「楽しみだね」
小玲「ふふふ」
小玲は天使の微笑みを浮かべ、隣に座る信彦の方に頭を預けた。
第17話に続く
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