桃源郷の歩き方 東莞常平編序章

桃源郷の歩き方 東莞常平編序章 ~2019の東莞常平~

世界の桃源郷

2019年7月、信彦は5年半ぶりに香港から電車を乗り継ぎ、中国広東省東莞市にある常平駅のホームに降り立った。常平と書いてチャンピン(Chángpíng)と読む。夕刻も近い時間だが、香港と同じく摂氏35度の高温かつ90%を超える湿度で、不快指数は極めて高い。しかし、電車の中のクーラーが効きすぎていたためか、高温多湿な外気に心なしか心地良さを感じてしまう。

今回の東莞常平訪問の目的は、電子部品メーカーを経営する10年来の友人「趙さん」との商談である。日本の新幹線の模倣と称される和諧号(Héxié hào)の中から、微信(Wēixìn。英語名はwe chat。中国版のLINEのようなもので、これが無いと中国人とのコミュニケーションは不可能)で到着予定時刻を予め連絡していたため、趙さんが駅まで迎えにきてくれていた。

信彦「お久しぶり!(好久不见! Hǎojiǔ bùjiàn)」

今でも微信で頻繁にやり取りをするため、あまり「久々に会った感」は無いが、対面は実に5年半ぶりである。つまり、信彦が東莞常平に来なくなってから一度も会っていなかったことになる。

久々に実際に対面して思うこと、それは趙さんが相変わらず人懐っこい笑顔のナイスガイであることである。この東莞常平での心地良さの37%位は趙さんの存在が原因である。ちなみに、信彦より3歳年下の45歳である。中国における最低所得省の1つといわれる貴州省出身で、10代で広東省に工場労働者として出稼ぎに来て修業を積み、技術を蓄積して自らの会社を立ち上げた苦労人である。

ちなみに信彦は、あまり顔や態度には出さないものの、人の好き嫌いが非常にはっきりしている。独自の評価基準により、気持ちの良い人を好み、気持ちの悪い人を嫌う。趙さんは、もちろん大変気持ちの良い人である。ついでに言うと、好きな言葉は「人生は何事も経験」「適正価格を見極めよ」「据え膳食わぬは男の恥」の3つである。

お抱えドライバーが運転する趙さんのBMVに乗り、夕食のためにレストランに向かった。東莞常平駅から常平大道を通り、街の中心である中元街との交差点を曲がれば、そこはかつて足繫く通った湖南料理レストランである。

久々に信彦が東莞常平に来た喜びを隠し切れない趙さんは、

趙「この道覚えているか?(你还记得这条路吗?Nǐ hái jìdé zhè tiáo lù ma)」

趙「5年も経つと、このホテルは覚えて無いんじゃないか?(已经过了五年、你不记得这家酒店吧? Yǐjīng guòle wǔ nián, nǐ bù jìdé zhè jiā jiǔdiàn ba)」

趙「中国語は上達したか?(你的中文有进步吗? Nǐ de zhōngwén yǒu jìnbù ma)」

と矢継ぎ早に質問をしてきた。信彦の中国語での反応速度が遅いのが原因かもしれないが、信彦が質問に答える前に次の質問に移ってしまうのも、趙さんの愛嬌である。5年半前と不変である。

階段を上り店内に入ると、流石に店員は入れ替わっているが、5年半前と同じように不愛想な女性店員が、

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店員「お前らは何人で来てるんだ?さっさと教えろ、ばかやろう(几位?Jǐ wèi)」

とは言わないが、そのような雰囲気の口調で人数を確認してきた。何年経過しても変わらないこの「オモテナシ精神ゼロ」の対応は、ここまで徹底されればそれはもはや「個性」であり、心地良さを感じざるを得ない。

趙「2人!(两个人! Liǎng gèrén)」

人数を告げると、待ち無しで窓際の席に案内された。

信彦「昔は毎回待たされたけど、最近はこの店のお客さんはそれほど多くないのかな?」

趙「いやいや、今でも大人気ですよ、この店は。今日は少し時間が早かったから、待ちがなかったのでしょう、たぶん。それと、信彦さんが幸運を一緒に運んできてくれたんじゃないですか?」

こういう意味不明なお世辞も、趙さんの気持ちの良いところの1つである。

まずは冷えた青島ビール(青岛啤酒 Qīngdǎo píjiǔ)で乾杯しながら、地鶏の唐辛子炒め、豚の角煮、空心菜の大蒜炒め、そして水餃子と、定番の黄金料理を注文した。開店から30分も経過していないにもかかわらず何故か豚の角煮は既に売り切れと告げられた。この意味不明な現象もある種「個性」であり、5年半前と変わらず徹底されているのである。

青島ビール 小瓶|Tsingtao Beer Small bottle

信彦「最近どう?(最近怎么样? Zuìjìn zěnme yàng)」

お互いに近況は凡そ知っているのだが、とりあえず趙さんに振ってみた。

趙「何がですか? 」

信彦「仕事とか、マクロ経済とか、夜遊び(夜生活 Yèshēnghuó)とか、いろいろだよ」

趙「東莞常平の夜遊びは全くダメですよ、ご存じの通り」

趙さんも慣れたもので、空気を読んで自然に夜遊びの話に誘導してきた。

信彦「そう聞くけど、本当にそうなの?5年半前は、ここは中国で1番の、いや、アジアで1番の、いや、世界で1番の桃源郷(香格里拉 Xiānggélǐlā)だったのに!」

趙「全くダメですね。昔は、旧正月や国慶節前に警察の手入れ(“黄色”を“掃除”する“黄扫 Huáng sǎo”という)が入ると、3か月位休業し、その後何もなかったかのように復活。これを毎年のように繰り返していました。でも、2014年1月に黄掃(黄扫)があってからは、一度も復活していないです。東莞常平は”おとぎの国”から普通の街に戻ってしまいました」

信彦「そうか、残念だよね。でもね、あの桃源郷を体験できたことは幸せだったよ。この世にあんな世界が存在するとは思いもしなかった。あの素敵な思い出があるから、今でも人生を頑張ることが出来る、そんな思いだよ。あれを体験せずに一生を終えるのは、男としてちょっとどうかと思うよね」

趙「確かに、そうですよね」

こうして2人の会話は、ごく自然に桃源郷の思い出話に移行していった。「この東莞常平に心地良さを感じるのは、桃源郷の楽しく幸せな思い出があるからかも知れない」と信彦は思いを巡らせた。そして信彦は、ここ東莞常平の桃源郷に初めてたどり着いた記念すべき2011年7月の話を語り始めた。

第1話に続く

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