桃源郷の歩き方 東莞常平編第13話

桃源郷の歩き方 東莞常平編第13話 ~苦悩と葛藤~

世界の桃源郷 東莞常平

信彦と貴博は、3階から5階および螺旋階段の美女たちを一通り見終わった。そして、1,000人以上の選択肢があることも確認した。昨日同様、男女比は相当に歪であり、男性客はその1/3位しかいない印象である。これは、東莞常平の中国式カラオケ(KTV)の標準値なのかもしれない。

ジョージによると、「花街に間に合わず遅れてくる客もいるし、1人で2人~5人位の女の子を指名する客もいるので、最終的にそこまで女の子が余るわけではない」らしい。それにしても、やはり需給はバランスがとれておらず、ある程度の売れ残り、つまり今晩の稼ぎがゼロの女の子は出てくるのであろう。だから、女の子たち、そして、その「上がり」からの口銭で生活をしているマネージャーたちは必死である。昨晩同様、ここは戦場なのだ。

客にとってみれば、本当に選り取り見取りで、これほど感極まることは無いのであるが、ここまで選択肢が多く、かつ需給バランスが崩れていると、なかなか選び辛いのも事実である。桃源郷(シャングリラ)ならではの贅沢な悩みである。

東莞の桑拿嬢の月収 : tm_boyの海外1人歩きblog

(写真はイメージです)

全体のレベルが低くて、その中から掘り出し物を探すのは楽しい。「可愛い子が沢山並んで、沢山の選択肢があって、何を贅沢なことを言っているのだ!」と怒られるような状況なのだが、感覚・神経を麻痺させてしまうほど恐ろしき桃源郷(シャングリラ)なのである。これは、この場を味わった者にしかわからない、不思議な感覚ではある。

信彦「さあ、どうしようかね」

貴博「どの階から攻めようかな」

ジョージ「さっき見た限りでは、4階が充実していたけどね」

信彦も貴博も、きちんと各階の品定めをしていたわけで、正直、どの階もかなりの数のかわいい子は存在している。もちろん、螺旋階段にもかわいい子はいる。しかし、品定めに厳しく辛口評価で定評のあるジョージがそう言うのだから、やはり4階に行くべきなのかもしれない。というか、ある程度選択肢を絞ってもらったほうが有難いという話もある。

信彦「じゃあ、4階に行こうか!」

ジョージ「そうしよう」

貴博「OK!」

3人は甜甜マネージャーとともに4階まで螺旋階段を登った。4階での本格的選別が始まると、ジョージが格段に活性化し始めた。彼の品定めはなかなか厳しい。マネージャーから女の子を推薦されると、「じーっ」と凝視した上で、女の子に「一回転するように」と命令する。腰からお尻にかけての体型を確認するためなのだが、シビアな香港人・中国人には時折見受けられる行動である。「自分で周囲を回れは済む話だろうに」と信彦は思ったが、まあ、この辺りは文化の違いとして軽く受け流すことにした。

3人は、それぞれの凡その位置確認はしながらも、基本的にはバラバラで本格的に女に子を選び始めた。貴博が中国語を話せないため、片言英語スピーカーの甜甜マネージャーが通訳兼務で貴博についてまわっている。

たまたま信彦と貴博が同じ女の子の前に来た際に、貴博が鼻の下を世界最大級に伸ばして信彦に話しかけた。

貴博「これは、かなりの上物だよ」

信彦「本当だね。これは、ヤバい」

甜甜マネージャー「通訳しましょうか?」

貴博「うん、お願い!517番ね!優しい子かどうか、聞いてみてもらえますか?」

そんな質問をして、事実にかかわらず否定的な答えが返ってくるわけは無いのだが。

甜甜マネージャー「とても良い子よ。先週大連から東莞常平に出てきたばかり」

貴博「おお、良い感じだね」

信彦「大連ね。どうりで、美人だと思ったよ」

大連は、中国における美女の産地で有名な土地の1つである。かつてロシア人居留区があり、混血が進んだことが理由と聞いているが、真偽のほどは定かではない。

甜甜マネージャー「でも、彼女は今日は連れて帰れないけど、大丈夫かな?」

信彦「何!?!?!?」

甜甜マネージャー「番号札の上に、赤いリボンがついているでしょ?あれは、生理でダメ(中国語で不方便という)という意味なのよ」

貴博「マジ?ショックだなぁ…じゃあ、やめとくよ。赤いリボンがダメな印なのね?」

甜甜マネージャー「はい、残念だけど。他も、沢山いるから!」

信彦「何事も勉強だね!」

大ショックで落ち込む間もなく、また貴博の足が止まった。うん、これもかなり可愛い。しかも、今度は忌々しい赤リボンも付いていない。

その子の担当マネージャーらしき女性のほうから、貴博に話しかけてきた。流石5つ星ホテルというべきなのか、彼女も片言の英語を話せるようだ。

貴博「彼女、いいなぁ。超タイプだよ」

信彦「昨日の那那ちゃんと、ちょっと似てるよね」

貴博「そうかもね。系統としては同じかな」

マネージャーに聞くと、昨日の那那ちゃんと同じ湖北省出身とのことである。湖北省では、このタイプの美人が大量生産されているのだろうか。彼女も、先週田舎から東莞常平に出てきたばかりらしい。全員「先週田舎から出てきた」と紹介されるから、あまり信憑性はなくなってきているのだが。

貴博「ちょっと、候補に挙げておくよ。折角だから、他も見てみたいな」

信彦「OK。まだ女の子は大量に残っているから、じっくり選べば良いよ」

貴博「信彦さんは選ばないの?」

信彦「うん、まあ、適当に物色してみる」

ここで、信彦は突然我に返って、小玲のことを思い出した。そう言えば、彼女に連絡せねばならないのだ。どのタイミングで連絡すべきなのだろうか?

その瞬間から、先ほどまで天真爛漫に女の子を物色していた信彦の中で、妙な葛藤が始まった。「可愛い子を選んでしまうと、その子を連れて帰りたくなってしまう。つまり、小玲には連絡しないということになるのか?」「ならば、売れ残り確定組を選ぶべきなのか?眉の異常に太い女の子を選ぶべきなのか?そうすれば、連れて帰りたくなることは無いだろう」「いや、でも性格が良くて、優しくされると、つい情がわいてしまうかも知れない」「いっそのこと、今小玲に連絡して、彼女を隣に座らせてこの店で過ごすべきなのではないか?」などの考えを巡らせた。うーん、悩ましいところだ。もうしばらく曖昧にして決断はせず、貴博のアシストに徹することにした。

そうこうしているうちに、ジョージは1人選んだらしい。信彦が見ていないところで選んだので、どういう子なのかは後で部屋で合流するまでわからない。そして、2人目を選んでいるところらしい。

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信彦も、何となくアンテナは張りながら、貴博のアシスト的にぶらぶらと見て回っていた。あらためて、結構かわいい子がいることが確認できた。ある一角に、なかなか粒ぞろいのかわいい子が集まっていたので、そこで信彦と貴博の足が止まる。

貴博「この隣り合わせの577番と690番も捨てがたいなぁ」

信彦「赤いリボンも付いてないね」

貴博「それ、重要ね」

信彦「あの2人も、先週田舎から出てきたばかりなんだろうね、きっと」

すると、577番と690番のマネージャーらしき女性が信彦に話しかけてきた。

マネージャー「577番と690番、どちらも先週貴州の田舎から東莞常平に出てきたばかり。友達同士だから、2人とも選んでしまえば?ついでに、その隣の2人も、全部姉妹(実の姉妹ではなく、仲良しの年齢が異なる友達。「姐妹」と書く)よ。お兄さんたち2人で、4人選ぶのはどう?」

敏腕マネージャーからの何とも強引なパッケージ・オファーだが、4人は全員かわいい部類に入る女の子で、決して悪いオファーでは無い。信彦と貴博の基準でそれぞれ個別対象は異なるが「50%は超かわいい、50%は普通にかわいい」という評価である。

信彦はやはり小玲のことが気になっていたが、目の前のかわいい女の子が全員友達同士であると聞いて、ある邪悪な考えが頭をよぎり、この「4人パッケージ案」を受け入れたいと考え始めていた。

信彦「悪くないオファーだよね」

貴博「だよね。信彦さんと取り合いにならないかな?」

信彦「貴博が2人選んで良いよ。正直、あの4人なら誰でも良い感じだし。優先権は貴博で」

貴博「本当に良いの?じゃあ、そうしようか!」

信彦と貴博は、敏腕マネージャーからの提案を受け入れて、貴州省から先週東莞常平にやってきた4人組の女の子を指名することにした。

その間、ジョージは追加で2人選んだようだ。つまり、ジョージは3人選んだことになる。

これで、3人の対戦相手7名が決定した。

第14話に続く

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